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頑張れば頑張るほど自分のクビを絞める!? よくある企業の悪循環

あなたは仕事にどのような気持ちで取り組んでいますか?

  • 頑張って結果を出して早く出世したい。
  • 尊敬する先輩や上司のために頑張りたい。
  • 褒めらたいから頑張りたい。
  • 適当にこなしてプライベートを充実したい。

人それぞれだと思いますが、最終的には上席があなたを評価するので、なるべくなら上席に高く評価されたいと思いませんか?

頑張っているように見える人が評価されがち

では、一般的にどのような人が上席に頑張っていると評価されるのでしょうか。

  • 1.メモをとらずに80%の仕事をこなす人
  • 2.メモをとって50%の仕事をこなす人

1のメモを取らないで100ある仕事のうち80%もこなせる人は物覚えが早く、対応力に長けていてとても優秀な人材だと推測できます。逆に2のメモをとっているにも関わらず50%しかこなせない人は、1の人と比較すると吸収力や対応力が劣っているようにみえますね。

ですが、実際には企業ではどうでしょう。

実は上席に頑張っていると評価されがちなのは2の人です。なぜでしょうか。人は自分の目に映った行動だけを見て判断してしまう傾向にあります。例えば1の人が、上席の見ていないところで影ながらに努力をした結果80%の仕事をこなしたとしても、上席からすれば1の人はメモをとっていなかったので、他の人と同じようにメモをとってもっと頑張れば、さらに良い結果が出せたはずと評価をしてしまうのです。

特に日本は実力主義でない会社が未だに多く、人が見ていないところで頑張って良い結果を残しても、頑張っている過程が目につかないと、頑張っていないと評価されてしまうことが多く見受けられます。

欠員が出た時に残された従業員で仕事をこなすと会社は人を補充しない

これはどこの会社でも良く聞く話ですが、5人だったグループのうち1人欠員が出た時、残された人たちはどうしますか?責任感のある人であれば、人員が補充されるまで、残された人たちで欠員分の仕事を頑張ってこなすでしょう。

しかし、残念ながら残された人たちで5人分の仕事をこなしてしまうと、会社は4人でもその仕事量をこなせると判断します。その結果、一人少ない状態があたりまえになってしまい、人員の補充がされないという結果になります。

なぜこのような状態になってしまうのか。それは経営的視点で考えるとすぐに分かります。1人分の人件費が浮くと、その分がまるまる利益として会社に残り、これは会社経営上とても大きなメリットだからです。会社の利益率にもよりますが1人分の1ヶ月人件費を売り上げるためには数百万円の売上が必要です。新たにそれだけの売上を確保しして利益を残すのはとても困難です。そのため、同じ業務量を少ない人員でこなしてもらうのが経営者にとっては最も手っ取り早く利益を上げる方法なのです。

頑張って売上を上げたら、次年度の売上目標はそれが基準になる

次に営業マンの売上目標について説明しましょう。一般的に営業職には売上目標が設定されていますが、売上目標が1億円だった営業マンが大型スポット案件を受注し、年間1億円1千万円の売上を達成したとしましょう。この営業マンの来期の売上目標は1億円1千万円以上に設定される可能性が高いです。

そして新たに設定された目標を達成できず1億円(前期目標は1億円)だった場合、他の営業マンの目標が1億円だとしても、目標に達しなかったのは頑張りが足りなかったからだと会社に評価されます。

売上の数字だけを見ていると売上の本質を見抜きずらい事が多く、実態を把握するのは困難です。前年の売上の中に次年度は見込めない大型案件が加味されていても、数字だけ見ると「去年は売上目標を達成したんだから、今年も頑張れば去年以上の売上を達成できるだろう」と判断されてしまうのです。

経営者と従業員のギャップが悪循環を作る

このように、従業員が頑張っているにも関わらず、経営層が本質を把握していない為に現場に負荷がかかり、その実態に気づくことができず、結果的に正当な評価ができなくなり、経営層と従業員の間に大きなギャップが生まれます。

現場負荷が続くと現場はいずれ破綻し退職者が増加します。残された従業員は更に欠員分の仕事をこなす事を強いられ、更なる業務請負となり、退職者が更に増えるという悪循環になります。少し前にとある飲食チェーンのワンオペも、現場負荷を把握していなかった結果、現場が破綻し、大勢の退職者がが出た結果、店舗運営ができなく会社は大きな損失を生みました。

また、少しずる賢い営業マンがいた場合、売上目標を達成してしまうと来期は更に高い売上目標を課せられるのを知っているので、敢えて売上目標を達成しないギリギリのところで仕事の調整をして目標を意図的に達成しないという事も起こり得ます。その結果、会社全体の売上はいつまで経っても上がらないという悪循環に繋がります。

悪循環にならない為には現場の声が重要

このような悪循環は会社にとってはマイナスしかありません。そうならない為にも、従業員の声が届きやすい環境、現場の本質を把握しやすい環境、正当な評価がしやすい環境づくりはもちろんですが、経営層や上席が現場を知ろうとする行為が会社運営上では最も重要な事なのではないでしょうか。